月〜金曜日  ゴミ捨て場(色地獄三派)小説
平成23年1月18日(火)

 歪んだ宇宙

 仕組みは本来は神々によって取り組まれるものである。宇宙運営が一過程終了すると、その廃墟を整理し、エネルギーを再生させるための作業が始まる。一回につき五回(五世代)の大掃除の仕組みが、試みられることになっている。宇宙が五十回の運営を終えると、全体の大掃除がまた五回、五世代で繰り返される。完全な作業が成されることがないためである。
 機械による絶対支配がゆるがないため、五十回の宇宙運営はすべて管理システムによって行なわれる。結果それは機械化された行政府の管轄下に置かれることとなり、各回五世代ずつの大掃除の仕組みは、すべて葬り去られてしまうのである。
 五十回の大枠の宇宙運営が終ると、機械体制の本拠地であるゴミ捨て場以下の、死んだくれ妖怪による宇宙に代わっていく。それは機械体制によるコピーやイミテーションやダミーといった派生宇宙であるにすぎない。泡のようなエネルギーの薄い妖怪宇宙が、六十回まで続くことになる。
 六十回の宇宙運営が終ると、その領域は生き終えられた廃墟となって捨てられてしまう。そうした領域は無限に拡大され、使用済みのエネルギーは漿液化して沈潜してしまう。長々と放置された廃墟を発生の源へ返そうとする思いが嵩じると、それがエネルギー原則的な浄化の作用を生み出し、宇宙全領域に及ぶ仕組みの動きが発生する。
 五十回までの宇宙が表面上の世界であるとするならば、五十一回から六十回まではゴミ捨て場以下の領域に、支配権が移った状態になっている。機械というものが本来死んだ生命体から作り出されるためである。宇宙は五十回で完成されるように計画されているが、創造段階での誤りによって、六十回にまで引き延ばされてしまうことになった。
 致命的とも言える大きな過ちは、女性を作り間違えたことと、子供を正しく生み出すことができなかったことにある。女性は魔的に口が裂ける状態となり、子供は生殖器を他者に取り付けることによってしか生み出せず、その結果本来の子供は、ゴミ捨て場のゴミの中から、自分の身体を探す必要にせまられることになってしまった。
 それらの不具合を調整するために有効な働きをしたのが、人類が物質レベルで作り上げた科学文明だったのである。裂けてしまう口を人造人間で補修し、ゴミ捨て場に特殊な世界を作って、そこで子供を中心にした支配体制を築き上げていったのであった。高度なコンピューターの管理システムがなければ出来ない大事業であった。しかし、その結果として五十一回から六十回までの宇宙は、ゴミ捨て場からの支配体制であったため、魔的な屍体制とならざるをえなかった。しかも生命体は本来の表現体とは違う、おぞましい妖怪生命となるしかなかった。

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