月〜金曜日  ゴミ捨て場(色地獄三派)小説
平成23年1月21日(金)

 色地獄三派とは

 色地獄とは文字通り色地獄であるが、色地獄三派とは、そこに血の池地獄と溜め池地獄が加わる。いずれもゴミ捨て場の堕落界にあって、三つがセットになっている。この三つの領域は、普通の堕落界とは違って、宇宙の広大なゴミ捨て場の中に、特別の世界を保っている。
 宇宙は創造段階での誤りがそのまま保存された形になっていて、色地獄三派の領域も正常化されることも、処分されることもなく、延々と残り続けている。女の作り間違いと、生殖器の付け替えというおぞましい間違いは、人間科学者によるロボットによって改革されているが、創造の本質までを変えることはできなかった。
 男と女の分離は、身体を本身と反身の二つに分割する悲劇を生み出してしまったし、身体から取り外された生殖器は、性具として単独で使われる弊害が起こっている。その結果、生殖器はラッパという色欲魔を発生させてしまったし、本身と反身に分かれる身体からは、食料と替え電池が作り出される原因となってしまっている。
 血の池地獄は食料生産基地、溜め池地獄は替え電池のエネルギー体製造工場として、宇宙の必須の重要拠点を構成するものになっていった。ここに落ちると簡単に出ることは出来なくなり、大きなサイクルで宇宙生命が巡っていっても、同じパターンの繰り返しを余儀なくされる。そして、機械によって同型の宇宙が大量に作り出されると、基本的な宇宙からはみ出るような派生宇宙として、果てしもなく広がっていくことになる。
 そうした派生宇宙は本体とは違う特殊な世界として、体制を維持するための道具として使われることになる。機械妖怪による絶対支配を嫌って、仕組みによる革命運動を起こす者に対しては、徹底的な潰しが組織的にのしかかり、身動きできなくなるまで埋め込まれたり、破砕されたりしてしまう。そして場合によっては、生殖器を取り外して性具として使われたり、食料生産基地でエサにされたり、反身の替え電池の製造工場へと送り込まれてしまう。
 ゴミ捨て場以下の特別な領域に隠して作られている、それら色地獄三派の世界は、表の世界とは隔絶された膨大なものである。そして、その世界から出られないメンバーのために、純度の高い特別な宇宙が作られることがある。正常化を望む彼らをつなぎとめておくための手法の一つでもあるが、そうした世界はほんのわずかで、ほとんどは宇宙本体の色地獄を構成する要素として、様々な用具にされてしまうのである。
 生殖器を中心にした色地獄は、本体宇宙にぶら下がるような堕落界に深々と、広大な領域として存在しているが、他の二つは別な形の表現世界を構成している。
 エサ子の生産基地の表現体は、食料としてのエネルギーを取り尽くされると、機械妖怪体制を守るための城壁のような、無限階段宇宙に作り替えられていく。本体宇宙に根を生やして果てしもなく広がっていく世界は、縦の時間軸を構成して上へ上へと昇っていく。
 その血の池地獄と対照的に空間軸に拡大していくのが、替え電池の生産工場である溜め池地獄である。生産基地での務めを終えたエネルギー体は、本体宇宙を包み込むようなマユ宇宙を、何重にも重ねる形で空間的に拡大していく。
 そしてそれら両宇宙のメンバーは、本体宇宙を縛り付けるように縦に横に、上に下に、外に内にと、呪力線を巻き付けて巡り回る運動体となっていく。それらを「ブン回し組」と言うのであるが、そうしたメンバーで構成されているのが、色地獄三派の特殊な宇宙なのである。
 旧体制のために働かされるそれら色地獄三派のメンバーは、基本的には旧機械妖怪体制をバックアップするための要員であるが、旧体制が宇宙のルールを守らない硬直した犯罪社会であるため、そこからの脱出を計り始めることになる。
 泥棒、乗っ取りの寄生宇宙でしかない機械妖怪体制で、奴隷ロボットとして使われるだけでは納得できない正統派のメンバー達であれば、当然のことであろう。実力を蓄えた者達は努力を尽くしてその悲願を達成し、本体宇宙に参加することが出来るようになるが、その生は苦難に満ちている。
 そして、本体宇宙での仕組みや正常化運動に破れると、再び色地獄三派の奴隷領域へと追いやられることになってしまう。

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