月〜金曜日  ゴミ捨て場(色地獄三派)小説
平成23年4月12日(火)〜

 色地獄三派の仕組みの課題

 色地獄三派は、基本的にはゴミ捨て場の子供が中心になって構成される領域である。男女に分割される前の男、伴侶として男の分身のような形で無源の根から引っ張り出された女、その女は口が裂けてしまう魔的な表現体となって現れるが、それは本体の男の欲望が表出されたものと考えることができる。
 自分本体の男と、その反身である女、本来一体であるものを表裏の半分に割って、裏の女を表に出してしまうと、それぞれに別々の反身をセットしなければならない。そうしないとプラスの男とマイナスの女のエネルギーは必然的に結びつき、融合合体して女は消えてしまうことになる。それを避けるために別のエネルギーを持ってきて、両者の反身を補充して男女の分離独立をはかったのであった。その補充された反身は、後に自然神としての別存在を構成することになっていく。
 子供の場合は、男女が分離した後に生殖器を取り付けることによって生み出されることになっていくが、男が女の身体の中に子種を生みつける形にしたところで悲劇が起こった。両者の間で子供を作るということは、三者が一体化しているエネルギーが必要なわけで、それが親子の絆を作り上げる基盤となる。男と女はそれまでに生きるためのエネルギーを外の領域から取り込んでしまっていた。それを子供として取り出すために、男の種を女に生み付けて、取り込んだ別のエネルギーを子供として表出させる方法が試みられた。
 ところが取り込んで自分の一部となってしまっているエネルギーを子供として生み出す場合、それはとてつもない苦痛が伴うこととなってしまった。その形は現在でも踏襲されて、出産時の苦痛は母親の条件のようなものにまでなっているが、最初の女達はそうした苦しみに耐えられず、生殖器を取りはずしてしまった。捨てられた生殖器こそいい迷惑で、子供を生みそこなった彼らは、元の身体に取り付いて生き延びようとしたのであった。身体の方としてもやむなくそれを許したが、それがまた悲惨な状態を生み出す原因となってしまう。
 身体に取り付いた生殖器は、自分達が生きるために、身体の要素を食べ始めることになっていった。五大要素の内のミタマをまず初めに食べ尽くし、さらには表現体の基盤となっている体(たい)要素を食べ続けていったのであった。食べられた身体の方は次第に本来の立場を失っていくことになり、次第に表現世界から抜け落ちて、幽鬼のような希薄な生命体と化してしまうことになったのであった。
 それを避けるために、最初の男女は、自分達の生殖器を他者の身体にセットして、身代わりで子供を生み出すという方式を考え出し、それを定着させていったのだった。その形は全表現体に及ぼされてしまったため、自分本来の生殖器を持っている者は誰一人いない、という歪んだ世界になってしまわざるをえない。その結果生殖器の扱いはズサンなものとなり、取り替えることすら出来る形が出来上がると、後は必然的な流れとして、色地獄が形成されていくことにならざるをえなかった。
 本来が欲望を追求するような世界でしかないとすれば、やむを得ないことであったにしろ、それは宇宙にとっては不幸なことであると言うよりは、悲惨なことであった。純度の高い世界が堕落していくにつれて、エネルギー確保の方法までが落ちていき、初めは宇宙エネルギーですんでいたものが、次第に表現体同士が食い合うエサと化してしまうことになっていったのだった。宇宙が進化して機械が生まれてくると、その形はさらに整理されていき、新しい生命を産み出す生殖器を中心にして、食料生産基地が作られ、取り替え可能なエネルギー体を生産する工場が作られることになっていった。そして、それらの需要を満たすために、性欲の比率が高められていったのだった。
 子供を生むためだけではなく、食料を確保するため、さらには反身の替え電池体を生産する必要があるとすれば、単純計算しただけでも三倍以上の能力が必要になってくる。表現体に付けた形でそうした生産工場を運営するわけにはいかないため、生殖器は身体から取り外されて、生産器具として特別に使われるようになっていく。そうして大量生産工場が出来てしまうと、あとは機械による絶対支配体制を維持するための、様々な組織が作り上げられていったのであった。
 そして、そうした機械の支配体制を打破しようとする正統派や、エネルギーの正常化運動で浄化活動をする者に対しては、徹底的な弾圧がかけられることになっていった。殺害して生殖器を取り外して生産工場で使ったり、子供に作り替えて食料や替え電池にしたり、色地獄へ誘い込んで身体の精力や意欲を奪い取って、敗残者にして葬ってしまうなど、ありとあらゆる手法を使って支配体制の保持が目指され、今でも続けられているのである。

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