仕組み小説第四部「仕組み」
P1 平成25年10月2日(水)〜

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 198ー年10月26日

 光泉堂の初めての滝行に参加。研究会のものとほとんど同じやり方だったので、違和感を感じないで自然に入れた。それでも今までのものとは違う何かがあったように思う。何かが抜けて、何かを背負った感じとでも言えばいいのだろうか。しかしそれは不a快な感じではない。何かが始まったのだ。本格的な何かが。それを仕組みに参加したととらえればいいのだろうか? ずっしりと重い充実感、それが今までとは決定的に違うものだ。
 葉子を誘ったら、興味を示したけれども、今一つ動けない感じだと言う。旦那も興味津々といったところで、そのうちに出掛けてみるかもしれないとのこと。昇を連れて行きたい気もするが、巻き込みたくない思いも強い。何かが違うという気がするのだ。彼は神秘領域にあまり興味がないようなのだ。だんだん自分から離れていきつつもある。機械に取り込まれていくのかもしれない。

 198ー年11月3日

 哲のミタマ調べが出た。父神系でレベルは高いが、問題は魔神界の淵に落ちているところにあるとのこと。あちらでもまだそのことのくわしい内容はわからないらしく、調べがつかないらしい。何か難しい問題があるようだ。淵と言う所は一度落ち込むと二度と出られないらしく、そこの調整が難しいということだった。だとしたらなぜ私の所に来れるんだろう? 哲がもがき苦しんでいたのはそういうことがあったからなのだろう。
 そのことが判明してから哲との交渉が少しできるようになってきた。彼には自分のいる場所がどこなのかわかってはいないようだった。ほとんど動けないらしく、ただ自分の所にかろうじてつながることができるだけなのだという。そこには慧春尼や鈴木大拙などもいるらしかった。

 198ー年11月4日

 自分のミタマは重なりミタマで、ミタマは開いているらしい。地球レベルの最初のスサノヲは終わっていて、二段階目の星レベルのクニトコタチなのだという。もう七合目までは昇っていて、これから根元に突っ込むことになるのだという。こんなことまで教えてもらえるとは思っていなかった。今までの闇の中での手探りからは信じられない進行だが、やはりすごいことだという気がする。
 家族のものも調べてもらっておく方がよさそうだが、何かがおかしい。紀子やゆみこはそっぽを向いているし、昇までが反発し始めている。これはいったい何のことだろうか? 

 198ー年11月15日

 哲が変なことを言い出した。
「釈迦が落ちてきているといううわさがある」
「何だって? そこは仏界か?」
「よくわからない。ヘドロのような薄汚いエネルギー領域なんだ。もう少し調べてもらってくれ」
「わかった」
 葉子が行きたいと言い出した。来月の会合に連れて行ってほしいと言ってきた。旦那と一緒に行くとのこと。面白くなってきた。

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