仕組み小説第四部「仕組み」
P2 平成25年10月8日(火)〜

 198ー年12月6日

 葉子達の初面談はかなりいいものだった。人数が増えてきているが、研究会の会員に対する仕組みの先導役の評価にはかなり高いものがある。著書に書かれていたような激しい闘争をし続けた会長の研究会なのに、そちらのメンバーに関しては無条件と言ってもいいような信頼感を示す。そのせいもあってか葉子の旦那までが、こちらに移った方がいいのかもしれないなどと言い出している。
 哲が落ちているという淵に関しては、興味深い反応があった。そこは裏仏界とでも言えばいいのか、魔仏界と言うのか、神界で言えば魔神界の領域にあるのだという。表の世界は根の国、底の国、つまり幽冥界、冥界の下には堕落界があって、果てしもなく落ちていくのだという。そちらに落ちていくと淵に行かずに魔神界に巡ってしまうとのこと。淵は魔神界から降りて行く方が早い感じがするのだという。
「そこに釈迦が落ちているということはどういうことなんでしょうか?」
「私と喧嘩をしたから落ちてしまったのでは?」
「研究会の先生もそうなんですか?」
「そうなるんでしょうね」
「先生の場合は淵ではありませんよね」
「二つ下の宇宙です。脱落ということかな」
「哲はどうなるんでしょうか?」
「わかりません。今のところはそこに落ちたら二度と上がれないと言われているだけです。問題はなぜ落ちたかですよね」
 哲と繋がったのでそのことを言うと、知っていると答えた。
「どういうことなんだ?」
「行っていたんだ」
「なんで行けるんだ、身動きできないはずだろう?」
「よくわからない」
「なんでそんな所に落ちたんだ?」
「落ちたつもりはない。上に上がったはずだったんだ。何かがおかしい。慧春尼もそうだったらしい」
「一緒にいるのか?」
「いろいろ相談するけど、うまくいかない」

 198ー年1月15日

 葉子は重なりミタマで、自分と同じく二段階目のヒツジヒメレベルとのこと。旦那ではなく、やはり自分とのセットらしい。以前に赤い糸と言われたのもそのことだろう。彼女に引かれるのはそのせいか。だからといって一緒になりたいとは今は思わない。なぜだろう? そのことは先導役にもわからないらしい。旦那はスサノヲ系で、葉子とは相性がいいらしい。レベルは我々より一段階低い地球神界だが、ミタマは開いているという。それにしても隔靴掻痒だった先生とはえらい違いだ。なんという明快さか。

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