金曜日 仕組み小説第三部「光を求めて」 | ||||
2 P11 平成24年9月7日(金) | ||||
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何とかしなければ。とにかく落ち着くんだ。慌てるなよ。必ずなんとかできるはずだから。子供では成功したんだ。親の自分ができないなんてことがあってたまるか。しかし頭の中に何かがあふれ出してきそうだな。これを押さえ続けることなんてできないぞ。疲れ果ててしまう。何か方法を考えなければ。しかしこの緊張感はどうだ。ほとんど気違い状態ではないか。いろいろ経験してきたから耐えられてはいるものの、ちょっと気をゆるめたら狂ってしまう。 こういうことはもっと美しくて魅惑的なことかと思っていたのに、まったく予想と違うな。何か薄汚くてゴミやヘドロが攻め立ててきているような感じだ。神がやって来たんだろ? もっと清浄で明るいものが来てもいいだろうに。いや、そうじゃない。きれいな神がのいたから逆に汚いものが押し寄せてきている、と考えなくてはならないのかもしれないな。 きれいになあれ、きれいになあれ、きれいになあれ、クリーンナップ、クリーンナップ、クリーンナップなんて昇のときに言わせたんだっけ。子供だましだと思ったけど、いや、そうじゃない。「痛いの痛いの飛んで行け、御世の御宝、フッ!」なんておばあちゃんが言って治してくれたことだってあったんだ。そうなんだ、それを俺は応用しているのか。まったく理由のないことではなかったんだ。 子供じみていたが、弓彦には難しい秘儀のようなものより、そうした子供にもわかるような単純なものの方が、身に合っているように思われた。そのとき気がついたのだが、彼は信心深い祖母の影響を受けていたのだった。子供心ではほとんど意識はしていなかったけれども、祖母は弓彦をこんなふうに育てていたに違いない。それが役に立つのなら幼稚であろうが、理論的な根拠がなかろうが、当面問題にはならなかった。神秘的に深い意味があったり、科学的に検証できたところで、現実の場で結果が出なければ、どうにもならなかった。 しかしこれは厳しいな。収まる気配が感じられない。増々ひどくなるばかりじゃないか。これじゃ押し切られてしまう。突き破られたら精神病院だぞ。気違いとはこんな状態のことを言うんだろうな。これがもっと悪くなると、見えたり聞こえたりするわけだ。今は自分が発狂するのを押さえている感じだけど、押さえきれなくなったら噴き出すことになるわけだ。何が出てくるんだ? この状態では神や仏ではなさそうだな。 |
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