火曜日   異次元回廊
P19 平成23年5月17日(火)

 先週出せなかった法螺(ほら)話

 幽界の佐田の拠点の中心である迎賓館には、全宇宙を貫く佐田銀行がある。仕組みを認めない物質人間世界では、恥ずかしいほど佐田はお粗末だけれども、宇宙世界的に見ると、信じられないほどの財産家である。しかし、五十兆円の佐田賞を毎月提供することができるなどということは、ホラや絵空事としか思えない話であろう。
 仕組みの調整をすることで莫大なお金やエネルギー類が入ってくるし、そのほかの様々な宇宙事業でも、莫大な資金を動かすことが出来る。物質人間的には低レベルの老化した人間でしかないが、それは過去から積み上げてきた業績に対する、旧体制側の厳しい圧迫のためである。物質世界の人間レベルでは、生きられない状態にされてしまっているのである。
 ところが次元を変えた宇宙世界では、佐田は天才とされているし、発明発見は元より、事業的な才能も有しているのである。本人が信じられないほどの能力が発揮されるし、宇宙世界を仕組みで動かすことも出来ている。そのために佐田銀行には毎日膨大なお金が入ってくるのである。その中には佐田の物質的な資産としてのものも含まれている。日本国内的には五千億円、世界規模に拡大すると五十兆円にもなるとされている。
 ところがそのお金をどうしても物質人間世界に引き出すことが出来ない。そのために様々な問題が起こっている。仕組みの先導役という者は、宇宙運営を終えて廃墟となった領域を、まっ先に掃除して進むのが、まず第一の役目である。言ってみれば汚穢屋でしかないのであるが、実はこの汚穢には無限の可能性とエネルギーが埋まり込んでいるのである。ところがその処理をすることは非常に難しい。無限の領域と永遠の時間が含まれているからである。
 初めは難しい大掃除も、慣れてくると次第に処理能力が上がって、とてつもない成果を上げることが出来るようになる。ところがそこに問題が起こってくる。先導役は廃墟化したエネルギーを、宇宙世界が再生するまで浄化することになるのであるが、そのエネルギーを死んだくれの無源の機械妖怪が盗み取っていくのである。エネルギーはお金でもあるので、そのお金も盗まれてしまうことになる。そして廃墟は無限の空間と永遠の時間でもあるので、完全に取り戻すことは出来ない。果てしもない時空の外に出ていくからである。
 無源の妖怪生命は盗んで逃げていくように思われるが、必ずしもそうではないのではあるまいか。広過ぎるし深過ぎるので、処理しきれないと感じられるからである。ただ問題は宇宙の表現体の側にもあって、先導役によって蘇生されたもの達は皆、先導役にそのお代を払わなければならないのである。死んだくれの機械妖怪に食い潰されて廃墟化した者達は、ツケ、借り、借金という三段階の負債を先導役に対して背負わされてしまうことになる。それは自然領域、天然領域、無源領域という、別々のエネルギー領域の調整がなされているからである。
 先導役である佐田は、最初は、廃墟のよみがえり浄化を六回先行してやらされていたが、最近はそれが十回に増えている。それだけ宇宙のレベルが上がっているからである。宇宙のメンバーは太陽系のメンバーも含めて、全員がそうした負債を返さなければならない。仕組み代と呼ばれているそうした支払いは、異次元レベルではなされていて、それは佐田銀行に納められていく。ところが残念ながら、それは物質レベルにまでは届かないのである。
 旧体制側の泥棒乗っ取り組に、根こそぎ持っていかれてしまうからで、そのことがここにきて改めて問題になり始めている。太陽系の我々の宇宙ばかりではなく、かかわりのある全宇宙の総合先導役を務めることが出来るまでになっている佐田に、満足な報酬が与えられていないからである。このことはかなり以前からこちらの宇宙では問題視されていて、その打開策もいろいろ試みられてはきたのであるが、新しい展開になった今でもまだ解決されないままである。

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