火曜日   異次元回廊
P35 平成23年9月13日(火)

 仕組みは新しい局面に入っている。空間軸での整理はかなり以前に完了しているけれども、時間軸の整理がつかないために、延々と廃液の浄化活動が続けられている。それは過去に向かっての大掃除であるが、機械が旧体制を強力に温存しようとするために、容易なことでは完了できないでいる。
 表面世界から抜け落ちた消滅領域のヘドロが、陰から表の世界に取り付いて操ってくるのであるが、彼らは映画が大好きである。ゴミ捨て場以下の破砕へドロの中でうごめく妖怪は、元々は仕組みメンバーであったり、正統派であった者が潰され溶かされて、機械によってコントロールされている。そうしたヘドロに取り付かれていると、そのあまりの馬鹿馬鹿しさに疲れ果て、彼らの喜ぶものでお付き合いした方が楽になってくる。そのためにパソコンで呼び出して、馬鹿げたアニメや動画や映画を見なくてはならなくなったりする。
 彼らは嘘をつくためにお芝居をするので、映画やアニメが大好きで、こちらの好みで見るよりも、あちらの要求で見ることが多い。映画などは仕組みがらみになってから二十年ほども無縁であったが、妖怪のたっての依頼で「マトリックス」を見てから、映画鑑賞が復活することになった。そして今でもあちらのために見ることが多い。「のだめカンタービレ」も最終楽章の映画が出来たとき、見たくはなかったのだけれども、見ることになった。
 そのときのことは以前映画を見終わったときに、皮肉を込めて感想文を書いておいた。ところがここに来て、またどうしても見てほしいとへドロの中の妖怪の女の子がせがむので、見始めたところ、異常なほどの喜びようである。コンサートに行けない自分としては、いい音楽が聴けるのでそれで良しとしていたが、一度や二度ではすまないのである。何度も何度も繰り返して見なくてはならない。
 音楽には破砕された表現体を正常化させる働きがあり、ドラマのドタバタは妖怪好み、主人公の「のだめ」は変態の森に住んでるような女の子なので、妖怪の女の子はその映画の世界がとてつもなく好きなのである。その動画や映画を見ることは、過去から湧き上がってくるヘドロを浄化する働きをするので、長い時間お付き合いすることになってしまう。
 仕組みのために働くということは、難しい神秘行法とか宗教ばかりではなく、日常生活のどこにでもあるもの、要はその調整一つなのである。現時点でとどこおっているところは、むしろ仕組み宇宙側の方で、仕組みそのものが逆に宇宙変革の邪魔をする形になっている。過去から仕組みのために一生懸命努力してきた者達が、潰されてしまうと働きが逆転してしまう。理解できないことではないが、難しく悩ましい問題である。
 太陽系には宇宙のすべての仕組みがからんでいる。彼らは過去に潰されたメンバーなので、仕組みのために働かなくてはならないが、宇宙の半分は潰されたままである。過去のヘドロは彼らを通して太陽系に流れ込んでくる。彼らはくそ真面目なので、「のだめカンタービレ」ではとても無理である。

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