月〜金曜日   夢かうつつか幻か
P2 平成23年10月28日(金)〜

 ある日、二人は向こう通りにある国際会館の交流クラブで会うことになりました。佐田街は高級ラブホテル街でしたので、世界からレベルの高い男女が招かれて、いろいろな形で交わっておりました。誰でも出入りできる一般の桃源郷とは違って、そこは選ばれた者だけしか出入りできない場所でした。そうした場所が他にも二カ所あって、そちらも佐田街と呼ばれておりましたが、そこにはそれぞれ違いがありました。一つは縮図領域、一つは地球領域、もう一つは惑星領域という地域の違いで、エネルギーベースが同じものではありませんでした。
 危子はその内の縮図組でしたが、縮図とは地球を縮図化した地域のことで、日本という国が中心に位置しておりました。地球の世界地図を調べてみると、地球の大陸が縮図化されている地域があることがわかります。欧亜大陸が日本本土に、アフリカ大陸が九州に、オーストラリア大陸が四国に、北米大陸が北海道に、というようにその形態は一目瞭然、誰の目にも似ていて縮図化されていることがわかります。その他の大陸は応用問題になっていて、少し突っ込んだ目で探らなければわからない仕掛けになっているようです。
 世界の大陸としては、南米がはっきりした大陸として存在していますが、そちらに対応している縮図は台湾とされています。ちょっとすがめにならないとわかりませんし、そこは日本ではありませんので、ちょっと戸惑うこともあります。そして世界の大陸としてはまだグリーンランドという、あまり人の住んでいない北極圏の大陸があります。この大陸は極東ロシアのサハリンの南半分が対応していると言われています。この構図にも不自然なところがあって、サハリンはロシア大陸に繋がっていますし、縮図的には南の半分に切断しないと対応できないことになっております。そこにはそれなりの理由があるようですけれども、ここではあまり深く考えないことにしておきます。
 そのほかの地球の大陸としては南極大陸があります。この大陸に対応している縮図はフィリピンのルソン島であると言われています。よく見なければその類似はわかりませんが、日本以外の三カ所はかなりデフォルメされているように思います。牽強付会の無理があるということです。そして日本の本島を四分割して欧亜大陸の分割に合わせます。つまりヨーロッパ大陸、ロシア大陸、中国大陸、南アジア大陸の四つです。それらを合わせると全部で十カ所となり、宇宙を構成する十神界の分割領域となり、それぞれの大陸をその十神界が守護している構図が現れてきます。
 危子とダンコンの二人は、そうしたことをいろいろと話したのでした。危子がそうしたことを話したのですが、ダンコンは最初は半信半疑で聞いていたのですけれども、彼女の話し方がうまかったのか、それとも別の理由があってのことだったのか、次第にそうした話を受け入れるようになっていったのでした。彼はキリスト教徒でしたが、一神教が所属している佐田街へは行かずに、縮図の方に来ていたので、そこらあたりも二人の話題の関心事になっておりました。
 ダンコンは商社員で、佐田街で遊ぶために縮図に来ていたわけではありません。仕事をすることが目的でしたが、仕事の合間には誰でもするように男女の交流も熱心に心掛けておりました。そのなかの一人に危子がいたのですが、彼女は縮図の王女の流れでしたので、そのことも彼の興味のポイントの一つになっておりました。その王室は世界的にも高名でしたし、仕事の上でも有利になる可能性があると考えられたため、二人の関係はただの遊びを越えるものになっていったのでした。
 その日の二人の会話は、クラブの個室でお茶を飲みながらのものでした。

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