月〜金曜日 夢かうつつか幻か | ||||
P9 平成23年12月7日(水)〜 | ||||
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そんな話をしながら二人は外に出て、『どろぼう佐田街』に向かって歩いて行きました。危子は口を隠しながらダンコン青年を避けるようになっておりました。彼はやさしい青年でしたので、そんな彼女を気遣うように無理な要求をせずに、色街へと歩き続けました。こんなことは初めてのことでしたので、かなり興味深いことだし、知りたくもあったのですが、次の機会にそれとなく探り出すことにする方がいい、と判断したのでした。それほど危子の様子はおかしかったのです。 そうして危子とダンコン青年との短い逢瀬は終わろうとしていたのですが、二人にはまだいろいろと知りたい事や確認しておきたい事がたくさんありました。特にダンコン青年の場合は、人生の大きな転換期にあって、誰かの導きがなければうまく進めないほどの難しい局面にぶち当たっておりました。それを打開するためには危子という女性は、彼にとって必要不可欠な存在であり、彼女との逢瀬は、彼のために準備された特別な機会であるように思えました。 「あなたは巡るタイプだから、私でなくとも別な機会が必ず出て来ると思います。黒魔神になるのではなく、それを乗り越えて進んで行けば、正しい世界に上がれます。その時はもうキリスト教ではなく、ご先祖のような神々の世界に向かうことになるかもしれません。もしそれを望めばの話ですけれども。私の場合はしばらくは黒魔神でいくしかないと思われます」 「白魔神ではいけないのですか?」 「私は魔神を卒業して、素裸の神になりたいのです。エデンの園でもいいのですが、私は人間の進化を成し遂げたい。人間を卒業したいのです」 「人間はお嫌いですか?」 「そんなことはありません。でも今の状態を乗り越えないと進化できません。女の場合は男と進み方が違うのです。そのことは自分の身に起こったことで確認できました。もっともっと勉強して、訓練もしなければなりません」 「私にも教えてください」 「出来るかぎりは致します」 「ありがとう、よろしくお願い致します」 「またの機会に」 「桃源郷の『どろぼう佐田街』、ここはいったい何処なのだろう?」 「私にはわかりかかっているのですが、今は言いません。もっと確かなものになってからお教えします」 そうして二人は別れて行きました。それからのち、二人が別の機会に会ったかどうかは定かではありません。太陽系のどこかで会っているのではないかと思われるのですが、そのことの確認はしないで、今回はここまでとさせていただきます。 |
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