月曜日   仕組み革命  
  P28 平成22年4月5日(月)  

   今評判の3D映画「アバター」を遅ればせながら見て、改めて世間の人間の感覚の鋭さに感嘆して帰ってきた。芸術とか芸能という領域、つまり特殊な感覚で仕事をする人達の場合、時代を先取りする天才がいる、ということを思い知らされる。
 宗教や科学などといった各分野にも、もちろんそれぞれ時代を先取りする天才がいるわけであるが、映像芸術の分野でも、ときどきそうした作品に出合うことがある。宮崎駿の作品とか、「マトリックス」や「指輪物語」などにもそうしたものを感じたが、「アバター」もそうした作品の一つであった。
 科学文明の進化発展が目覚ましく、近未来に人間社会は、人間を含めて機械化する。そんな時代風潮の中で、あえてそれを逆転させる発想のもとで制作されているのが、「アバター」という映画であった。科学文明を過信して他星の原始的な星を破壊しようとする近未来の地球人。彼らを打ち破る密林の原始人達。彼らは自然と共生している原始人でしかないのであるが、ただの原始人とは違っている。
 高度な地球の科学文明に触れながら、それを拒絶し、乗り越えてしまう原始人なのである。文明を拒絶するだけの原始人なら、当り前のパターンであるが、受容する能力がありながらそれを拒絶し、さらに乗り越える他星の人類なのである。
 仕組みの立場から見ると、新体制の巡る宇宙の形がそこにはある。宇宙革命を目指している仕組みを、先取りしている世界が提示されているのである。つまり科学文明社会を終えた世界が、そこにはあるのである。そこが今までにはなかった新しい感覚なのである。
 宇宙文明はまっさらな正しい体制、木製品の小道具くらいまでしかない魔神体制、そして高度な管理システムで運営される機械体制の三つから成り立っている。エネルギー原則的にそうした流れがあり、それが繰り返されているのが宇宙文明であるが、行き詰まった機械文明、生き終って廃墟と化した機械妖怪宇宙を正常化しようとするのが、宇宙浄化宇宙変革の仕組みというものなのである。
 その場合はエネルギーが逆転していくことになる。つまり機械体制が原始的な魔神体制(白と黒がある)へ、そしてさらにそれがまっさらな理想郷へと回帰していくわけである。太陽系で進行している神界コースを中心にした仕組みは、科学文明が進行していく流れと、宇宙が廃墟から立ち上がっていく逆巡りの流れが交錯している状況の中で、取り組まれている。
 太陽系の人類は、一方向のみの世界で生きているわけではなく、宇宙を切り替えるための、特殊で複雑な世界に生きている。つまり正しい体制と魔神体制と機械体制の三つの世界で、共存共栄していく世界で生きているのである。もちろん体制の違う世界で生きる場合は、同じ土俵では生きられない。「アバター」の地球人と他星の原始人(白魔神体制を暗示している)の場合も、身体や環境が違う世界として描かれている。
 そこには今我々が目指している仕組みの世界のイメージが、映像として先取りされた形で現わされていた。機械化していく地球世界に、絶望していない人間が現れ始めたのは喜ばしいことである。そこからも仕組みが確実に発展進化しているのを、見ることができる。心強いことである。
 
 
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