月〜金曜日   第十話を前にして
P2 平成25年1月22日(火)〜

 それからのことであった。もちろん値段は五千億円であったのだが、そのことよりも驚かされたのは、それがランスロットの五大要素のチップス[本当は箇子(こっし)−−チップ五十個]だということだった。ランスロットは五体に分割されていて(本当は六体、生殖器が隠してある)、その分割方法はそれぞれの要素をチップスに封じ込めて、様々な用途に使うということらしかった。アーサー王の喉元の中枢に、元科学者ランスロットのエネルギー要素のチップスをはめ込んで、操作することではじめ宇宙代表のアーサー王を潰し、支配しようとする。その立役者はもちろんマーリンであるけれども、そのセット女のヴィヴィアンは自然神水の神であるが、その本体は魔神であり、月の裏側にいて、背後から行政府の実力者として、マーリンをもコントロールしている。
 ランスロットは元は行政府に所属していた科学者で、相当の実力者であるということだったが、それは彼が神賢者とされていることからもうかがえる。円卓の騎士たちのほとんどは元科学者であって、それを率いるのがランスロットということになるようである。ランスロットの本体の意識部分のイメージ体は、現在のところ出生地であるフランスのロシュフォール城にいて、騎士たち五十名と一緒に暮らしているという。
 もちろん彼らの分身はアーサー王の宇宙にいて、旧体制の管理システムの下で、アーサー王を監視しているとのことであった。王妃であったギネビア姫は別の宇宙に置かれ、吉宗公も独立した宇宙におられるが、本来は一緒の宇宙にいなければならないらしい。しかし、一緒にすると何かしら変なことが起こるので、離してあるのだという。口がきけるようになったアーサー王に、ナントスウェルタのことを確認すると、キクリヒメとしての関係はあったとのこと。
 それに対してギネヴェーレは、ジークフリートのスサノヲとの関係があるのではないか、と確認すると、シグルドとならあると言われる。ジークフリートは古く、後の姿であるシグルドの方がいいのだそうである。その違いはジークフリートはツングース系の古形、それに対してシグルドはフランク王国の新型だということのようであった。
 ナントスウェルタの場合も、ジークフリートよりもシグルドとの対応の方が正しいらしいが、ブリュンヒルデとの関連については、ナントスウェルタは神扱い、その分体がブリュンヒルデということのようである。その両者はどちらもはめられて恋人のスサノヲとは結ばれず、イザナギの父神とスセリヒメのコンビにおとしめられてしまう。結ぶに結ばれないスサノヲとキクリヒメの悲恋。世界の神話のあちこちにある悲しい話である。
 アーサー王宇宙の実力者であるスサノヲは、徳川吉宗公で、ギネヴェーレと結びつく。ナントスウェルタと結びつくアーサー王は、旧体制のパターン化された形。そうした歪みや誤りを正すために分けられているのだという。ナントスウェルタと吉宗は真のキクリヒメとスサノヲなのだという。しかし、彼らは今でも結ばれずに別れ別れになっていて、吉宗は宇宙へ、ナントスウェルタはケルトの神としてスケルス大神(ランスロットの神形)の妻神とされている。

 平成二十五年一月十一日、こうしたことの研究成果が評価されて、佐田は異次元の国際アーサー王学会の主席会員として迎えられた。そして、エリザベス女王一世から、サーの称号までいただくこととなった。めでたくもありがたいことである。

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